「あ~、また白髪抜いてるでしょう。ハゲますよ。」
「1本だけだからー。」
こういうやり取り、意外と多いんです。
私は美容の裏方40年以上ですが、アップスタイルをされる方も多く見てきました。
髪を強く引っ張ることで、毛根に負担がかかり、弱ってしまう方も少なくありません。
昔の美容業界では「かもじ禿(はげ)」という言い方がありました。
付け毛や強い結い上げで、生え際や前髪に負担がかかることで起こるものです。
今でいう「牽引性脱毛」。
引っ張る刺激の積み重ねで起こる脱毛です。
つまり、
毛根は「引っ張る」「抜く」といった刺激を嫌うということです。
そして10年後の結果は?

※イメージ図です。変化には個人差があります。
これは実際にあった話です。
ある美容室の先生が、いつも鏡越しに白髪を抜いていました。
しかもアップスタイルで、常に髪を引っ張っている状態。
数年後、こう聞かれました。
「何かいい育毛剤ない?」
当時の私はまだ知識が浅く、深く答えられませんでした。
しかしその後、毛髪診断士として学び、はっきりわかりました。
白髪を繰り返し抜くことは、
毛根に負担をかける行為です。
「1本だけ」が習慣になる。
1日1本でも、
1年で365本、10年で3650本。
しかも多くの方が
前髪・生え際・分け目といった同じ場所で抜きます。
ここが問題です。
では、なぜ抜いてはいけないのか。
白髪は、メラノサイト(色素細胞)などの働きと関係しています。
抜いたからといって黒髪に戻るわけではありません。
問題は「抜く刺激」です。
毛乳頭や毛穴に負担がかかり、
同じ場所で繰り返せば、細い毛や生えにくさにつながる可能性があります。
そして気づいたときには、
「最近、前髪が…」
後悔しても、元には戻りにくいのが現実です。
結論はシンプルです。
白髪は
抜かない。染める。
できれば、頭皮まで考えた施術をしてくれる方に任せること。
髪を染めることは、ただ隠すだけではありません。
見た目が整うことで、気持ち・姿勢・行動まで変わります。
この変化は、日常や身体のリズムにも良い影響を与えることがあります。
だからこそ大切なのは
サラサラより、まず頭皮。
今ある毛を大切にすること。
白髪は敵ではありません。
抜くものではなく、
守りながら付き合うものです。
白髪を見つけたら、
抜かない。
毛乳頭を泣かせない。
日本毛髪科学協会
元毛髪診断士より

